桐蔭横浜大学の大幅元吉教授は流体力学の専門家。その知識とノウハウを生かして、魚型ロボットの開発に力を入れてきたという。
「食糧問題が取り沙汰されるなか、各国で魚の飼育が進んでいる。たとえば、オーストラリアでは黒マグロを海洋牧場で養殖して日本に輸出しているという。ならば、この海洋牧場で活躍できるロボットを作って、社会貢献できないかと考えた」そうだ。
というわけで、大幅教授は海洋牧場におけるダイバーの仕事に注目。「海洋牧場ではダイバーが潜って、マグロの生存環境をチェックしている。海のなかを泳ぎまわり、彼らの仕事を肩代わりできるようなロボットを開発してみたいと思った」という。
そこで、大幅教授は水中を泳ぐ魚の動きに目を付けた。「魚の泳法はほかの動物の推進構造に比べて、柔軟かつ静かだ。この動きを実現できれば、海洋牧場のマグロにストレスを与えずに、キチンと監視することができるようになる」と。そのため、大幅教授は3関節をサーボモータで連結することで、魚の柔軟な動きを再現したという。
さらに、大幅教授は得意の流体力学の研究を生かし、ロボットがいかに効率的に水中で動くかを計測した。とくに、魚の尾ひれの動きに注目したそうだ。「魚の尾ひれの動きは巧妙にできている。スクリューのエネルギー効率が40%であるのに対し、魚の尾ひれは80%ものエネルギー効率を発揮する。というのは、魚の尾ひれは水中で非常にうまく渦をつくることで、最適なエネルギー変換をしているからだ」と。
ところが、ここにきて大幅教授は異なる方向に興味を抱くように。ナント、生物は生物でも、植物の運動を研究しはじめたのだ。「植物の葉も動物と同じように運動している。とくに温度、光、気流といった環境の変化には敏感に反応し、自分にとって最適な状態になるように動いている」と。実際、大幅教授がサツマイモの葉の動きを研究したところ、ある光と気流の環境下で、4ヘルツという振動数からしだいに高い振動数に移っていくことがわかったそうだ。「どうやら、スムーズに光合成を行えるように動いているようだ」と大幅教授は分析する。
では、こうした植物の動きを解明すれば、どのような局面で役立てることができるのだろうか。「サツマイモの葉の運動のメカニズムを解明すれば、光合成に最適な条件がわかる。そうすれば、魚の尾ひれの研究を応用して最小限のエネルギーで最適な気流をつくり、サツマイモの成長を促進することができる」とも述べている。
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