ローカル線のなかで見事に黒字化を達成した第3セクターを紹介したい。信越本線(軽井沢駅〜篠ノ井駅)を運行しているしなの鉄道(株)である。
この路線が第3セクター化されたのは、北陸新幹線が開業されたときのこと。そのとき、JR東日本から経営移管された信越本線が第3セクターのしなの鉄道として生まれ変わった。
しかし開業時から、同社の経営は苦しかったという。01年9月の中間決算では累積赤字が24億円を上回り、債務超過の状態になっていたそうだ。「旅客数が減少していると同時に、開業時はJRからの出向が多く、人件費が膨らんでいた。そのため、どうしても赤字が膨らんでいった。また、コスト管理も徹底していなかった」と話すのは経営企画課長の和田徹氏。
とはいえ「この路線には可能性が十分にあった」と和田氏。というのは、路線のなかに軽井沢という一大観光地があり、シーズンごとに安定した旅客数を得ることができていたからだ。
そこで、同社は経営トップを民間企業から招いて、経営改革に取り組むことに。「第3セクター化した当初、社長は長野県からの出向だった。が、経営悪化にともない、経営者を変えることになった。そして、02年のときに旅行代理店のHISから杉野正氏を招いて経営改革を実施した。現在は元スカイマークエアラインエアラインズ社長の井上雅之氏が経営トップを務めている」そうだ。
こうした民間企業の経営方針が、しなの鉄道の雰囲気をガラリと変えた。たとえば、観光客が多い日は、軽井沢などで従業員が率先してバザーを開催。少しでも収益をあげるように物販に努めているという。「駅には人が集まる、この特性をフル活用することで、鉄道全体の経営状況を良くすることができる。バザーなどの物販はもちろんのこと、広告収入だって拡大することができるはずだ」と。
また、同社はイベント列車も頻繁に走らせている。定番の「ビール列車」のほか、電車のなかでボジョレーヌーボーを堪能できる「ボジョレーヌーボー列車」なども走らせている。「ウチの路線はひと駅間の距離が長いこともあって、企画列車を走らせるのにはちょうどいい。これからもイロイロな列車を走らせていきたい」と。
こうした取り組みが奏功し、旅客数の減少は下げ止まった。「たしかに旅客人員はずっと落ち込んでいた。が、この2、3年間は落ち込み方が減少してきている。その前までは2.5%で落ち込んでいたが、この2、3年は1%ところまで回復してきている。おかげで、黒字化を達成することができた」そうだ。
ちなみに、同社は今年で設立10周年を迎える。現在、10周年を記念してコンサートやイベントを開催しているそうだ。「ここまで頑張ってこれたのは、ひとえに地域住民の皆さんのおかげだと思っている。記念グッズも売り切れ続出だ。これからも地域とともに頑張っていきたい」と話している。
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