ローカル線の生き残り戦略 vol.3
鉄道再生を請け負う岡山県の両備グループ


 つぎつぎと廃線に追い込まれていくローカル線。この流れに歯止めをかけようとしている会社がある。それは両備グループといい、岡山の路面電車「岡山電気軌道」をはじめ、各地の電車やバスといった交通機関を経営している。
 その両備グループに助けを求めたのが、和歌山県の貴志川線だ。もともと貴志川線は南海電気鉄道(株)が所有。が、赤字超過がつづいたため、南海電気鉄道は05年9月末に国交省に廃止届けを提出。すると、地元の住民たちから署名活動が。
 事実「大量に住民の署名などが寄せられた。それに、自治体も何とかして残したいという意識があり、引き継ぎ事業者を公募してみた。その結果はノー、8件の応募者があったが、そのなかに運輸事業者がいなかった。そこで、私たちが06年4月に和歌山電鐵(株)を立ち上げ、業務を引き継ぐことにした」と同グループの広報を務める山木慶子氏は話す。
 とはいえ、両備グループや和歌山電鐵も一民間企業。カンタンに赤字部門を抱えるわけにはいかない。そこで、まず手をつけたのは、人件費のコストカットだった。おかげで、運転士が掃除や車掌といった役割もはたすことになった。「ひとりで2役、3役とこなすことで、大幅なコストカットをはかることができた。そして駅は、すべて無人化したそうだ。少人数で頑張っているから、自然と住民とのコミュニケーションが生まれるようになった」という。
 また、両備グループは貴志川線に「日本一心豊かなローカル線」というキャッチコピーを掲げた。「潤沢な資金がないのなら、地域と一体となって運営することで日本一になろうと考えた。そのため、月に1回地域住民と運営委員会を開き、利用促進について意見交換をしている」という。
 一般住民もこれに共感した。何と約200名の地域住民が駅の掃除や草むしりを行っているというのだ。そのほか、駅などのペンキ塗りも地域住民が率先して行っているという。これには約100名が参加し、これまでに2カ所のペンキ塗りを行ったそうだ。「路線を存続させるには、コストカットが何よりも重要。地域住民のサポートが肝心、そんな構図ができた」と関係者は自慢する。
 もちろん、電車にも和歌山電鐵ならではの特徴がある。この地域の特産品であるいちごを車両に描いた「いちご電車」を走らせているのだ。しかも「この電車を走らせる際に、1口1000円でサポーターを募集したところ、1099万3000円もの募金が集まった。これには正直いってビックリしました」と。この支援に応えるように、和歌山電鐵は週に1度、イベント電車を走らせている。たとえば、母の日のギャラリー電車やクリスマス電車といったものから、車内でいちご狩りを楽しむ「いちご狩り電車」など、さまざまなイベント電車があるという。
 が、それでもまだ「貴志川線は赤字だ」そうだ。というわけで、県と2市は貴志川線に対して年間8200万円の補助金を出しているという。「鉄道の場合は安全第一、そのため、設備の維持・修復に莫大な費用がかかる」という。だが「それでも私たちは貴志川線を再生したい。そしてローカル線がまだ頑張れることを全国に示したい」と山木氏は話している。





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