地球温暖化で刻一刻と変化する産業地図vol.2
地球温暖化が日本の農業、漁業に与える影響


 温暖化は農業などの分野にも大きな影響を及ぼす。というのは、気温上昇とともに、農作物の産地が北上するからだ。農林水産省農林水産技術会議が昨年12月26日に発表した農林水産研究開発レポート『地球温暖化が農林水産業に与える影響と対策』を見てみると、2060年代に全国平均で約3℃気温が上昇した場合、水稲の収穫量は北海道では増加し、東北以南で減少すると予測している。つまり、日本における米どころが東北、甲信越から北海道に移ってしまうわけだ。この兆候はすでに九州であらわれている。たとえば、玄米の全部または一部が乳白化する白未熟粒などが大量に発生しているのだ。また、胴割れ米という亀裂の入った米も、発生しやすくなっているという。もちろん、ほかの作物も産地が北上する傾向にある。青森産で有名なリンゴも2060年代には北海道全域が適地になるそうだ。ブランドと呼ばれる農作物も、数十年でガラリと変わってしまうかもしれない。
 こうした産地地図の変化はすでに世界的にも起こっている。たとえば、ワイン用のブドウといえばフランスのボルドーやブルゴーニュなどが有名だったが、温暖化とともに適地ではなくなりつつあるのだ。そして、ボルドーに代わる適地として注目を集めているのが、中国の新疆ウイグル自治区である。ウイグルでは古くからワインやブドウがつくられているが、温暖化の影響でボルドークラスの高級ワインがつくれるようになる可能性が出てきているのだ。
 そうはいっても、温暖化が進行しつづけるとなると、日本では農業の仕組みを変える必要がありそうだ。地球温暖化に詳しい筑波大学生命環境科学研究科の林陽生教授は「農家は早い段階で作物の品種改良を試みたり、栽培時期をズラしたりするといった方法を考える必要がある。温暖化を食い止めることはむずかしいのだから、農家みずからが新しい環境に対応していかなければならない」と話している。
 また、農作物に影響を与えるのは何も気温だけではない。温暖化の原因とされるCO2も植物の育成に影響を与えているからだ。実際、農林水産省が出した『地球温暖化が農林水産業に与える影響と対策』によると、CO2が「肥料のように、生育や収量を増大させる効果があることから、この効果を、『CO2施肥効果』と呼びます」と。その影響は作物によって異なるが「現在より200ppm程度のCO2濃度上昇の場合のデータをまとめると、コムギ、ダイズなどで、ほぼ15%程度の増収効果がある」という。





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