景気回復をはたしたといわれる日本経済。ところが、08年の大発会では、下落幅(616円安)、下落率(4.6%)ともに大発会としては過去最大を記録してしまった。はたして、これからの日本経済はどうなってしまうのか。昨年11月に開催された第32回「ミロク会計人会全国統一研修会・東京大会」の基調講演で、竹中平蔵氏にお話しいただいた内容をお伝えしたい。以下、講演会での竹中氏の発言。
私は昨年、大臣も参議院議員も辞めて、大学に戻りました。そして「構造改革の真実」(日本経済新聞社刊)という本を執筆しました。この本を書いたのは、日本は民主主義でありながら、国民が知りたいと思うような情報が公開されていないからです。たとえば、日本では政策が決まるまで、政府でどのような話が行われているのかといったことを知ることはできません。アメリカでは大統領経験者が回顧録などを出しますが、日本でそういったケースはほとんどありません。その点、私は研究者という立場から政策担当者になり、ふたたび研究者になることができました。だからこそ、政治の内幕を公表したいと考えたのです。
ところで、辞任後に小泉純一郎元総理にお会いしたところ「竹中さん、表情が柔らかくなったね」といわれましたが、そのときに話題になったのは現在の政局についてです。そのひとつとして、福田総理と小沢一郎さんによる大連立案が話題にのぼりました。あのとき、もし皆さんが民主党の党首だったら、目の前に政権がきていると感じたはずです。つまり、最初から政策協議に応じることがいちばんの近道だったのです。現に、民主党の若手中堅のなかにはそういった考えを持っていた人がたくさんいました。しかし、小沢さんは対決路線を選びました。政権を取ろうとしたのではなく、自民党を叩くことを目的としたのではないかと思えるような行動でした。
一方、自民党には大連立を持ちかける動機があります。あの時点で選挙になったら、おそらく負けてしまっていたからです。しかし、民主党がいい返事をするはずがありません。少なくとも、民主党に総理大臣のポストを渡さないかぎりムリだったと思いますが、自民党はそういった提案を持ちかけませんでした。ところが、そういった話になる前に大連立は頓挫し、小沢さんは民主党を辞めるといい出してしまった。私はこのタイミングで、自民党は解散総選挙を行うべきだったと思っています。そうすれば、民主党への不信感もあり、過半数を取る可能性は十分にあったはずだからです。つまり、民主党も自民党も合理的な選択をしていないのです。今の政治はここまで非合理的な動きをしています。これは世界から見ても不可解な動きになっていると思います。
以前、小泉さんは「政治には3つの坂がある。それは上り坂と下り坂と“まさか”だ」ということをいっていました。昨年、安倍さんが辞任したのは“まさか”でした。その後の大連立の話も、小沢さんが辞めるといって残ったのも“まさか”でした。日本は“まさか”というより、“またか”という国になったのかもしれません。
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