景気回復をはたしたといわれる日本経済。ところが、08年の大発会では、下落幅(616円安)、下落率(4.6%)ともに大発会としては過去最大を記録してしまった。はたして、これからの日本経済はどうなってしまうのか。昨年11月に開催された第32回「ミロク会計人会全国統一研修会・東京大会」の基調講演で、竹中平蔵氏にお話しいただいた内容をお伝えしたい。以下、講演会での竹中氏の発言。
日本経済が停滞していた間に、世界の経済は様変わりしてしまいました。たとえば10年前、中国のGDPは日本の10%しかありませんでしたが、今は日本の半分にまで及んでいます。2010年代には、中国が日本のGDPを追い越すのではないかといわれるようになりました。
先週、私は上海にある復旦大学と北京大学で集中講義を行ってきました。残念ながら、日本の学生に比べて、中国の学生は目の色が違います。一言一句聞き漏らすまいと、必死で勉強しています。この熱気が今の中国経済を支えていると思います。
また現在、森ビルは上海に「上海ヒルズ」を建設中ですが、その高さは六本木ヒルズ2倍以上だそうです。さらに、日本には超高層ビルが200本ありますが、上海市内には1700本もの超高層ビルがあります。この数字だけでも、中国がどれほどすさまじい勢いで成長しているかがわかります。
また、金融に関しても、海外との間に差が開きつつあります。日本はモノづくりの国だといわれますが、日本のモノづくりがGDP全体に占める割合はわずか4分の1しかありません。大半はサービス産業が占めているのが現状です。そして、そのサービス産業のなかで伸びると思われるのは、金融と情報産業です。だからこそ今、金融をシッカリ育成しなければ、日本経済を元気にすることはむずかしいのです。が、金融業界において、東京は世界的に見ると大苦戦している都市です。世界の金融都市ランキングを見ると、1位がロンドン、2位がニューヨーク、3位が香港、東京は10位なのです。しかも、東京はその順位を下げているので、専門家のなかには10年以内に上海に追い抜かれると予想している人もいます。
こうした海外の勢いに押されつづけていてはいけません。ところが、政治は経済政策に対して十分に力を入れていません。どちらかというと、格差や地方対策に力点を置いているのが現状です。ですが、私は何よりも改革をつづけることが大切だと思います。私はそのことを1年前に安倍さんにお伝えしました。「改革をつづけ、2%に回復したGDPをさらに2.5〜3%に引き上げる必要がある」と。安倍さんはそのことを理解し、成長戦略を掲げてくれました。しかし、具体的な取り組みをはじめる前に、参議院選挙で惨敗してしまいました。
GDPの成長率は1%違うと、10年後には10%分の差が生じます。これは50兆円分の所得機会の差になります。50兆円分の所得機会があれば、今の税制でも、税収は16兆円増加します。この金額は消費税率を8%引き上げたケースに等しい額です。日本のGDPが2%成長で消費税を5〜13%まで引き上げる状況と、GDPが3%成長で消費税を引き上げないですむ状況、どちらがいいかといえばいうまでもありません。
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