竹中平蔵氏が語る日本経済の行く末vol.5
日本ならではの知恵でビジネスを発掘してほしい


 景気回復をはたしたといわれる日本経済。ところが、08年の大発会では、下落幅(616円安)、下落率(4.6%)ともに大発会としては過去最大を記録してしまった。はたして、これからの日本経済はどうなってしまうのか。昨年11月に開催された第32回「ミロク会計人会全国統一研修会・東京大会」の基調講演で、竹中平蔵氏にお話しいただいた内容をお伝えしたい。以下、講演会での竹中氏の発言。

 改革を実現するためにも、多くの人に「マイニング・ザ・マイナーズ」の精神を持ってほしいと思います。これは19世紀の西部開拓時代の言葉で、マイナーズとは金鉱掘りの人たちのことを指します。当時の成功者は金鉱を掘り当てた人たちだけではありませでした。金鉱を掘ろうとしている人たちをターゲットにしたビジネスも盛んに行われたのです。そういったビジネスのことを「マイナーズを掘り当てる」という意味で「マイニング・ザ・マイナーズ」と呼ぶようになったわけです。わかりやすい例でいうと、当時、金を掘る人は掘った石のサンプルや砂をポケットに入れて持ち帰る必要がありました。が、内ポケットは生地が弱くて、すぐに破れてしまっていたのです。そこで、ある人がポケットを金属で打ちつけた強度の高いズボンをつくりました。これが今のジーパンです。つまり「ITなんて、自分のビジネスには関係ない」と思っている人こそ、新しいビジネスチャンスを探すべきなのです。
 そのひとつとして、高齢化のなかで観光産業を重視すべきだと思います。というのは「リタイヤして何をしたいですか」というアンケートの結果、旅行が1位になっているからです。これは旅行に対する潜在的な需要が高くなっている証拠だと思います。ちなみに、日本で観光産業に従事している人は全体の6%といわれています。かなり高い比率のように感じますが、アメリカは12%ですし、ヨーロッパではほとんどの国で観光従事者は10%以上います。また、日本の大学にはほとんど観光学部、観光学科がありません。オーストラリアの場合、大学の3分の2に観光学部があることを考えると、日本はもっと観光産業に力を入れるべきだと思います。
 ちなみに、観光産業の活性化を考えるうえで重要なのは、何のためにみんなが旅行しているかということです。若い人がニューヨークに行くことを想定してみてください。アメリカには寺社仏閣はありません。グランドキャニオンのような大自然もありません。では、観光客がニューヨークで何をしているのかというと、メトロポリタンミュージアムやブロードウェイ、オペラなどに出かけているのです。実は、観光戦略の中核は文化なのです。
 歴史や文化などの掘り起こしは、日本ならもっとできます。たとえば、北海道に行くと、函館大沼国定公園、洞爺湖といった道南のコースが開発されていますが、あれはもともと慶應義塾高校の修学旅行がつくったコースなのです。しかも、高校の先生たちが知恵を出し合ってつくりあげたものです。このように専門的な知恵を活用することで、新しい観光の芽を掘り当てる可能性はいくらでもあるのです。(1086字)

※「竹中平蔵氏が語る日本経済の行く末」は本稿で終了です。





トップページに戻る

中国ニュース インデックスへ
地域経済ニュース インデックスへ
その他ニュース インデックスへ
コロンブスニュース インデックスへ

地域からの手紙 インデックスへ