M&Aで日本経済を活性化vol.1
時代の変化とともに会計事務所間のM&Aが増加


 急速に進む少子高齢化、とどまらない原油高、中小企業を取り巻く環境はきわめてきびしい。と同時に、会計事務所も危機に直面している。このような状況で、日本M&Aセンターの分林保弘社長は「M&Aが中小企業を救う原動力になる」という。さっそく、昨年11月に開催されたミロク会計人会連合会の第32回「全国統一研修会・東京大会」の講演会でお話しいただいた内容をお伝えしたい。以下、講演会での分林氏の発言。

 私は会計事務所と40年以上も付き合ってきましたが、その間、会計事務所を取り巻く環境は大きく変化したように思います。何より大きいのは少子高齢化の影響です。15〜65歳で見ると、これから40年間で、現在8600万人から、3200万人減少するといわれています。となると、企業数も減少してしまいます。しかも、経済不況で赤字企業が増加しているので、顧問料を上げることがむずかしくなっています。
 では、会計事務所はどうすればいいのでしょうか。高度成長期は記帳代行と税務申告に力を入れていれば、自然と収入を得ることができましたが、今はそうはいきません。今後は「経営課題の解決」がテーマになってくると思います。が、職業会計人の側にも問題点はあります。たとえば、職業会計人の年齢を調べてみると、所長の約6割が60歳以上になっています。70歳以上も3割を超えています。つまり、会計事務所にとっても少子高齢化による事業承継が問題になっているのです。そのため、最近は会計事務所間のM&Aに関する問い合わせも増えつづけています。
 ちなみに、会計事務所のM&Aを担当する場合、ポイントになるのは毎月の顧問料収入がいくらなのか、所長の個人所得はいくらか、固定収入が年間いくらで、相続税などの申告がどのくらいあり、変動収入がいくらといったことです。
 また、譲渡事務所に対して、一括で譲渡代金を支払うのがもっともスタンダードなパターンです。この譲渡代金によっては、所長のリタイヤ後の人生設計を立てることができるだけでなく、職員の皆さんに退職金を支払うことだってできるようになります。M&Aが成立しないと、自分の預貯金を切り崩して、退職金に当てなければならないかもしれませんが、計画的にM&Aを行えばそういった不安はなくなるのです。
 ですから、私たちはまず譲渡側の現状を聞いて、それに適した手法を考えるようにしています。譲渡代金にかかる税金を抑えるために、法人売買という形式を取ることもあれば、事業譲渡を用いるケースもあります。譲渡代金が多額になると、年金方式という手法を使うこともあります。これは給与または顧問報酬を一定期間、なかには一生払いつづけるといったケースです。そのほか、たとえば1億円で売買した場合、多大な税金が発生してしまいます。そこで、貸付という手法をとって、返済していくというやり方もあります。いずれにしても、専門家とのディスカッションを通して、最適な手法を選ぶわけです。





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