急速に進む少子高齢化、とどまらない原油高、中小企業を取り巻く環境はきわめてきびしい。と同時に、会計事務所も危機に直面している。このような状況で、日本M&Aセンターの分林保弘社長は「M&Aが中小企業を救う原動力になる」という。さっそく、昨年11月に開催されたミロク会計人会連合会の第32回「全国統一研修会・東京大会」の講演会でお話しいただいた内容をお伝えしたい。以下、講演会での分林氏の発言。
日本の社会は明治維新以来、生産基地というポジションを保ちつづけていました。しかし、いまや生産基地といえば中国やベトナム、インドなどになっています。日本で売られている家電製品のうち、日本で製造されているのは1割もないと思います。
しかも、急激な人口減少とともに労働人口、マーケット、企業数なども縮小しています。その結果、今の日本では数多くの企業がM&Aに力を入れているのです。たとえば、松坂屋も単独ではムリということで、大丸と合併しましたし、三越も伊勢丹と合併しました。スーパーに関しても、いずれはイトーヨーカードーグループとイオングループのふたつに集約されるようになるでしょう。金融業界も淘汰が進みました。現に、かつて都市銀行は13行ありましたが、今は3大メガバンクに集約されています。建設業については少なくとも半分になると思います。何しろ人口が減るわけですから、将来的に家を買う必要がありません。そのうえ、建築基準法がきびしくなっているので、建設業界の資金繰りは想像以上にきびしいはずです。
また、事業そのものの将来性も危うくなっています。たとえば、米屋、酒卸業などは免許制ではなくなりました。タクシー会社の営業権もかつては1台1000万円でしたが、今はゼロです。病院に関しても、ベッドひとつに1000万円もの値がつきましたが、今はゼロになっています。
私はちょうど40数年前に貨物船でアメリカに行きました。そして、長い時間をかけて35州の様子を見てまわりました。そのときの経験は今でも非常に役立っています。というのは、アメリカで起こったことはその後でかならず日本で起こっているからです。アメリカが技術的に日本に追い上げられたように、今は日本が世界から追い上げられています。もはや日本だけが先進技術を持っているわけではないのです。
現在、日本で好調なのは輸出産業です。自動車も家電製品もプラントも輸出に関しては好調です。コマツも絶好調ですが、これはBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)に対して大量の輸出をしているからです。もはや内需だけで企業経営を成り立たせるにはムリがあるのです。ですから、中小企業といえども、少なくともアジアくらいは視野に入れなければ、生き残るのはむずかしいと思います。
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