静岡県浜松市の種苗メーカー、嶋崎種苗(嶋崎冨士夫社長)には、「転んでもタダでは起きない」企業風土がある。何しろ、種苗事業の失敗で得た教訓をクルマの「省エネ」に活かそうというのだから、その事業欲ははかりしれない。
同社の創業は、1876年。初代社長が、三河(愛知県東部)から大八車を引いて遠州(静岡県西部)にタネの行商にやってきたのがコトの始まり。そこで店舗を開設し、その後3代にわたってタネの小売・卸販売を手掛けてきたが、4代目の現嶋崎冨士夫社長(70歳)になって競争が激化し、オリジナル商品の開発に乗り出した。
その第一弾が、スイカのハイブリッド育種(ふたつの優れた種子を配合)だ。奈良県の農場で10年かけて開発。1965年から「天竜」の名で出荷し、宮崎、熊本、高知などスイカの名産地で好評を得たが、農場維持費などがかさみ、なかなか黒字化にはいたらなかった。そこで、同事業を約2000万円で売却し、これを原資に、磁場や電位でイネ科作物の天然肥料を作り出す(つまり化学肥料を使わない)ハイテク加工種苗の開発をスタート。イネ科作物は通常、収穫量をふやすために化学肥料を使うが、その大半が川に流出するなど環境汚染の原因になっている。そこで、嶋崎社長はハイテクの力で天然肥料(バクテリアや窒素などで組成)を作り出し、これを苗に付着させ「環境に優しく、しかも美味しいお米」を栽培しようと考えたのだ。さっそく、メーカーから磁場機器や電位機器を購入し、20年以上かけて完成させたが、ここでも誤算が。1s2900円(送料込み)という高価格がネックでさっぱり売れなかった。
窮地に立った嶋崎社長が思い立ったのが、天然肥料の開発過程で実感した「窒素」パワーをクルマのエネルギー源に使うというアイデア。即座に開発に乗り出し、クルマのエンジン内でガソリンの力で窒素を誘爆させる「ニトロネン」を、わずか2〜3年で完成させてしまった。
「窒素の力でガソリン供給を抑えることで、高速道路で20〜30%、山間地で60%の省エネ率を見込める」と嶋崎社長。現在は、自動車関連メーカーに「ニトロネン」の売り込みをかける精力的な日々を送る。ヨワイ70にして、その眼は未来を見据えている。
問合せ
嶋崎種苗
TEL:053-424-0600
http://www.shimazakiseed.co.jp/
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