ファースト電子開発(東京都板橋区、伊藤義雄社長)は、自社ブランドの無線応用機器や電子応用機器を開発から製造まで手がけるメーカー。大手メーカーの開発担当者が相談に訪れるほど、その技術力には定評がある。
同社の名を一躍、世に知らしめたのが、時計の名門・タグホイヤー社で販売されているスポーツ競技用タイム計測システムを開発したこと。1000分の1秒まで計測できる精度があり「スキーのワールドカップをはじめ、世界中のスピード競技の場で公式時計として活躍している」と伊藤社長。ほかにもJAXA(宇宙航空研究開発機構)の宇宙開発用無線通信機器やNEXCO(東日本高速道路株式会社)の高速道路交通情報提供システムを開発するなど、開発実績は山ほどある。
伊藤社長が大手電機メーカーを辞めて独立したのは41年前。当初は、秋葉原で電子部品を購入して防犯ベルを製作。これをカブに乗って売り歩いていた。つぎに手がけたのはアマチュア無線機。これが最初のヒット作になった。が、すぐに類似品が出回るようになり、伊藤社長は他社がマネできない「高品質・少量生産」の製品づくりに方針転換。以後、他社が断念した製品の開発依頼が持ち込まれることが多くなったという。
最近注目されたのは、失明者のための人工視覚システム。失明者の眼球にカメラを取り付け、撮影した情報を電気処理し、網膜細胞などを刺激して視覚情報を脳に伝達するものだ。これは、01年にスタートしたNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトで、技術的な問題から一時中止されたが、同社が参画して開発に成功した。
「自分をふくめ、全社員が設計図づくりからハンダ付けまでこなせるのが最大の強み」と伊藤社長。だからこそ「技術屋」の駆け込み寺になっているのかもしれない。
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