得意のジャンルで夢の宇宙産業に参加

 東京北区にあるファースト電子開発(株)(事業所:板橋区)の人工衛星の通信技術はまさにニッチそのもの。を担っているという。
 その規模もニッチ。同社の拠点は板橋区にあるマンションの一室。約20坪ほどの事業所には、何十種類もの電子計測器が壁イッパイに並んでいる。この空間で自社ブランドの無線応用機器や電子応用機器を開発から製造までを行っている。その技術力には定評があり、時計の名門・タグホイヤー社で販売されているスポーツ競技用タイム計測システムを開発したこともあるという。このシステムは「1000分の1秒まで計測できる精度を持っており、世界中のスピード競技の場で公式時計として活躍している」と話すのは伊藤義雄社長。
 ところで、伊藤社長は幼い頃から根っからの宇宙ファン。「子どもの頃に観たSF映画で、宇宙の魅力にはまってしまった」と。その思いは強く、「何とか星を観察したい」と思って子どもの頃はレンズとボール紙で「手作りの望遠鏡をつくったほどだった。そして、それからというもの、望遠鏡を手放したことはなかった」そうだ。
 そんな伊藤社長に突然、(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)からメールが。それは「人工衛星の無線通信部分をつくってもらえないか」というものだった。たまたま「大企業はリストラによるコストカットでコアとなる技術を失っていた」そうだ。おかげで「私たちのような専門的な中小企業の力が必要になったのではないか」と伊藤社長。
 こうして担当することになったのが、マイクロラブサット2号という実証実験用の小型人工衛星だった。無線通信でなければ人工衛星の操作性に弊害が生じるということで、伊藤社長の技術に白羽の矢が立ったという。そこで、同社は独自の通信技術を考案すると同時に「軽くて小さいモノということで、できるかぎり回路を簡素化することにした」そうだ。
 ところが、マイクロラブサット2号は打ち上げが中止に。その代わりに、来年8月に打ち上げ予定の人工衛星に伊藤社長の通信装置は使用されることになっているという。「ついに自分がつくった装置が宇宙空間に飛び上がると思うと、ワクワクする」と伊藤社長。まさに中小企業の職人衛星、面目躍如である。




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