シリーズ「ニッポンの農業を変える“草の根活動”」vol.2
LLPが回収した稲ワラで地元の畜産農家を活性化
農業において新しいビジネスモデルを考案し、LLP(有限責任事業組合)という事業形態を活用して実行に移している事例がある。岩手県金ヶ崎町のLLP「NOA」は稲作農家が出す稲ワラを利用したビジネスモデルを構築しているというのだ。
このLLPの中心となっているのは畜産農家の鈴木武治さん。「畜産業に必要な輸入牧草の価格がこの数年の間にキロ当り10円ほど上がってしまった。しかも、これからも安くなる見込みがない。そこで、自分たちの力でこの問題を解決するために、地元の畜産農家などと協力して去年の5月にLLPを立ち上げた」と。
参加したのは2軒の畜産農家と1軒の稲作農家、そして1社の建設業者。「同業者だけでなく、異業種の力も借りることで、効率的な仕事を行えると思った。とくに建設業は公共事業の減少で、仕事量が少なくなっていると聞いていた。このような建設業者と協力すれば、たがいにプラスになると考えた」という。
では、LLP「NOA」はどのようなビジネスモデルを描いているのか。「収穫が終わった田んぼには、大量の稲ワラが落ちている。一部の農家はこれを肥料として使っているが、大半の農家にとってはゴミと同じ。以前は稲作農家が自分たちで回収していたが、最近は労働力不足でむずかしくなってきている。そこで、私たちが回収に名乗りをあげることにした」と。ときに、稲ワラを提供してくれた農家には、そのかわりに堆肥を無償提供することも。
しかし、当初はなかなか賛同してくれる農家が集まらなかったという。依然として「慣習的に稲ワラを肥料として使っている農家が多かったこと」「自分の田んぼに他人を入れたくないという農家が多かったこと」などが影響した。そこで、鈴木さんは県内で大規模農業を行っている農業生産法人をあたってみることにした。おかげで、現在までに4社の農業生産法人の協力を得ることができたそうだ。
LLP「NOA」の作業は刈り入れが終わる10月中旬がピーク。このときに集めた稲ワラはストックしておいて、自分たちで使用するほか、他の畜産農家などにも販売。開始から1年を経て「何とか収支を黒字にすることができた」と。「今のところ副業として取り組んでいるが、この事業は地域の畜産農家に安価で稲ワラを提供できるので、農業振興にもつながっている。自信を持って、これからも継続していきたい」と鈴木さん。このように地域を巻き込んだ取り組みが広がっていけば、各地の農業も元気になるかもしれない。
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