中国の幼児教育の現状

音楽教育を受ける華夏未来少年児童文化芸術基金会の子どもたち

 中国で「一人っ子政策」が取られてから20年余。生まれてきた子どもたちは「小皇帝」と呼ばれ、わがままで自己主張が強いとされている。中国の幼児教育の現状はどうなっているのだろうか。
 北京や上海などの大都市では、親たちの教育にかける思いは過熱する一方で、裕福な家庭でなくても塾に通わせたり、家庭教師をつけたりすることが普通になっているという。そして、英才教育のため、学費が高くても専門カリキュラムを実施している私立幼稚園が人気に。こうした私立幼稚園では、英語はもちろん、唐詩や科学、芸術まで教育し、総合的なエリートを養成する。
 これに加え、塾や習い事も過熱しており、とくにピアノは大人気。おかげで、2003年当時年間20万台だったピアノの市場規模は、10年には30万台、20年には50万台にまで拡大すると予想されている。ピアノを中国で生産しているヤマハはこの特需を受けて絶好調。販売だけでなく97年から「ヤマハ音楽教室」を中国でもスタートし、全国に拡大中だという。
 ただ行き過ぎた教育熱、それによって育つ歪んだエリートたちを懸念する声も多い。せっかく競争を勝ち抜いて大学に入っても、希望の職種に就けるのはわずか。就職浪人の数は、03年には75万人、05には120万人に達し、就職率は6割弱に下がっている。こうした現実に絶望した結果、自殺率やニート人口も上昇しているという。
 こうした現実の一方で、「豊かな人格形成」を重視する学校も出てきている。たとえば、ハイテク工業地帯にある公立幼稚園などでは、外国文化への理解を深めるとともに、年配者や障害児との交流プログラムを実施し、思いやりの心の育成に力を入れている。また、中国最大の生涯学習・施設として、幼児への文化・芸術教育に取り組んでいる華夏未来少年児童文化芸術基金会(天津市)では、10年以上も前から豊かな人格形成を重視してきた。その教育姿勢があらためて見直されており、今年の生徒募集時には3000人もの応募があったという。中国の幼児教育は、さまざまな問題を抱えながら試行錯誤して進んでいる。




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