三角合併の解禁で外国企業による買収が進む!? vol.1
買収経費を抑えて迅速に子会社化


 外国企業が「株式交換」の手法で日本企業を合併できる「三角合併」が今年5月に解禁された。過日、その第1号の事例が誕生。米シティグループが仕掛けた日興コーディアルグループとの合併だ。シティは日本に100%出資の現地法人「シティグループ・ジャパン・ホールディングス」を設立。この子会社を通じて、日興株の3分の2強に相当する68%を取得した。今年12月に開催される日興の臨時株式総会では、シティは議決権を行使して株式交換を決議し、残り32%の株式交換を行うという。この際、日興の株主にはシティ株が割り当てられるが、シティの株の交換に応じたくないという株主は買取請求権を行使することもできるそうだ。
 そもそも三角合併とは外国企業が子会社を通じて日本企業を買収する手法のこと。これまで外国企業が日本企業を買収する際は、存続会社の株式を消滅会社に割り当てる必要があったが、三角合併はほかの会社の株式を割り当てることができるという。つまり、存続会社の株式ではなく、その親会社の株式を割り当てて合併を進めることができるようになったのだ。そのため、親会社の時価総額が高ければ、合併の際に巨額な資金を用意する必要がなくなり、買収経費を抑えることができる。現に、シティの場合、「サブプライムローン」(アメリカの信用力の低い個人向け住宅融資)で多額の損失を出しており、日興との合併では現金の流出を押さえたかったという背景があったという。
 ちなみに、株式交換による合併買収が法的に認められたのは99年のこと。しかし、これは国内の合併の際のみという規制があったため、外国の株を使った合併買収が発生することはなかった。というのは、株主が外国の株と交換すると、日本の株を売って外国の株を買ったとみなされてしまい、キャピタルゲインが発生して所得税の対象になってしまったからだ。
 これに対し、日本企業同士の株式を交換する場合は無税、そして06年の新会社法施行で、外国企業が日本企業を買収する対価として、日本企業の株主に外国株を割り当てても日本企業の株主は課税されなくなった。
 もちろん、そうなった要因は、日本はもともと海外から「対日投資の受け入れ額が小さく、市場が閉鎖的である」と指摘されていたからだ。そこで、三角合併を解禁し、日本企業と外国企業との合併、提携をスムーズにし、国内市場を活性化するというネライもあったようだ。
 ところでこうした三角合併が一般化すると、外国企業による買収が多発してしまうのではないかという懸念もある。そこで「国際的租税回避」を防止するため、「租税特別措置法」による適格要件が追加されている。元銀行マンで原会計事務所(東京都中央区)の所長を務める原俊氏によると「特定軽課税国(日本の法人税に相当する税金の税率が100分の25以下、あるいは無税である国。バミューダー諸島、バーレーン国など)に本社を置く企業は、特定の要件を除いては非適格とされ、日本に根を下ろして事業を行っていない企業などは認められない」そうだ。





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