96年に神奈川県で誕生した「女性・市民信用組合(WCC)設立準備会」(横浜市中区)の活動を紹介してみたい。設立の動機について、代表の向田映子氏は「80年代頃から介護やケータリング(給食)サービス、リサイクルショップなど非営利で活動する女性グループが増えてきました。だが、銀行は女性に対してなかなか融資してくれませんでした。なかには『夫の名義なら融資しましょう』という金融マンもいましたが、それでは納得できないという思いがありました」と話す。
そうこうしているうちに、バブルが崩壊し日本経済は大不況に陥った。多くの金融機関の不祥事が明るみになり、なかには倒産するところも出てきた。「銀行倒産などの報道を見て、自分たちの預金がシッカリと運用されていなかったことがわかってきました。とはいえ、銀行から預金を引き出しても、ほかに預けるところはありません。そこで、自分たちで納得できる非営利の『信用組合』をつくろうと考えたのです」と向田氏。
さっそく、向田氏は信用組合を設立するために、さまざまな法律書を読みあさったそうだ。一定額以上の資本金を出資者が集めれば設立できることがわかった。すぐに信用組合の監督権限者である神奈川県の金融課を訪ねたという。ところが、課員からは「とんでもないことです」とビックリされたという。銀行がドンドン潰れている時代に、銀行をつくることは「非常識だ」と思われたのだ。
が、向田氏は「どうしてもあきらめたくない」と、「神奈川ネットワーク運動」(地域政党)に所属しているメンバーやワーカーズコレクティブの女性たちとともに、96年にWCCを創設することに。98年1月には信用組合設立の賛同者を募ったところ、3000万円の資金を集めることに成功し、98年8月には「貸金業登録」を達成。同年12月からついに融資を開始するようになったという。
WCCの融資先はNPO法人、ボランティア団体、個人がメインだ。具体的には「デイ・サービス、グループホーム、保育所など福祉関係のほか、収益をアジアの人々の自立支援に使っているリサイクルショップなど。個人向けには教育ローンなどを用意している」と向田氏。
融資を決める基準については「財務状況のほか、社会貢献をしているかどうかをチェックしています。また、外部からの応援体制があり、地域とネットワークを持っているかどうかも判断材料になります。そのほか、組織の結束力にも注目しています。こういった点を踏まえたうえで、融資先との関係が重要になります。融資先と『顔の見える関係』をつくっていれば、焦げ付いたりすることもないはずです」と話している。
|